非抜歯矯正とは
ここでは、「できるだけ」という言葉を付け足したいと思います。
歯並びの悪さの程度により「抜歯」が避けられないと言うのが事実としてありますから、何が何でも歯を抜かないで治療する、できるとは理解しないでください。
ですが、健全な歯を抜くのは誰しも抵抗があります。
極力抜かないで済むような治療方針を立てますが、そうすれば治療期間が延び、それにともない治療費が高くなったりすることがあるのも事実です。
何も、ひとつの症例でひとつのやり方しかないと言うものではありません。
歯を抜かないことを重視した場合は、このやり方で、治療期間はこれで、治療費はこうなります、歯を抜いてもいいのであればこうなります、と言うような話の展開になって行きます。
それぞれの治療方針には一長一短がありますから、治療を開始する前にこれらのことを納得ゆくまでお聞きになって、十分考慮した上で決めてください。
ものは考え方ですが、例え抜いたとしても後でそれに替わる歯(第3大臼歯、親知らず)がでてきて歯として働くのであれば、それは抜いていないのと同じになるのではないでしょうか。
例えば、上の側切歯(2番目の歯)が歯列の内側に、犬歯(3番目)が八重歯の状態になっているとします(図-D)。
この場合、ふつうは小臼歯(4番目)を抜いて治療をするのですが、もうひとつの方法として第2大臼歯(7番目)を抜いておこなうことがあります。
ただし、第3大臼歯(親知らず、8番目)が骨の中にあることが条件ですが。
この場合、第1大臼歯(6番目)から後ろに移動し、順に小臼歯、犬歯と後ろに移動していきます。
これで前歯をならべる場所ができ叢生の状態を改善します。
治療が終わる頃第3大臼歯(8番目)が萌出してきます(図-F)。
たいていの場合いい位置に出てきます。
これで小臼歯2本、大臼歯2本残ることになり、何も抜かなかったことと同じになります。
何も治療しなかったら、第3大臼歯はたいがい外側に向かって生え、下の歯とはうまく噛むという状態にはなりません。これでしたら歯として働いていませんから、歯がないのと同じことになりますし、結局虫歯になりいずれ抜くことになるでしょう。
これでも大臼歯が2本残ることになりますが、叢生状態になっている前歯の問題は改善されていません。
もし小臼歯(4番目)を抜いて治療すれば、上の方法に比べ一本少ない状態(小臼歯1本、大臼歯2本)で終わることになります(図-E)。
ここでもう一度言いますが、例え抜いたとしても後でそれに替わる歯(第3大臼歯、親知らず、8番目)がでてきて歯として働くのであれば、それは抜いていないのと同じになるのではないでしょうか(図-F)。
以上のような治療方針で歯を抜くのですが、結果として抜かないでおこなった状態と同じようになる方法もあります。
非抜歯矯正のメリット
人間の骨や皮膚は時間が経てば自己修復していきますが、永久歯は一度抜けてしまうと二度と生えてくることはありません。そのため、できるだけ歯を抜かずに患者様の歯を残すことには、とても大きな意味があります。
また、抜歯がなければ、その分必要な処置も減るため、患者様の負担は少なくて済みます。
抜歯矯正を受けるにあたり
非抜歯矯正は、全ての患者様に無条件でお勧めできるというわけではなく、歯並びの状態やご希望の治療期間などを考慮して、適切な治療方法を決めていく必要があります。
当院では、患者様がきちんと納得した上で治療を進めていくようにしておりますので、まずはご相談頂ければと思います。